SSブログ

JCDN MEMBERS ページに追加して頂きました [information]

JCDNは「ダンスと社会を結ぶ、ネットワーク型NPO」(JCDNのHPより)。私自身、これまでにレビューを提出させて頂いたり、節目のアンケートにご協力させて頂いたり関りを持たせて頂いていたのですが、会員の更新をすっかり忘れておりました(苦笑)。昨年、松本市でダンスの企画があってチケットを購入したことを機縁に会員の更新をさせて頂きました。

プロフィールページも掲載して頂きましたので、これまでの関連リンクとあわせてご紹介させて頂きますね。JCDNの業績は、とても大きなものだと思います。

*今回のプロフィール写真は、あいちトリエンナーレ2019の時の写真を使いました。あいちトリエンナーレ2019では一部展示が一時的に中止になるなどいろいろ話題になりましたね。私自身も友人・知人でも価値観が分かれるなど悲しい想いをしました。自分に何ができるかを考え、名古屋市美術館会場の作品でVTS(対話型鑑賞)を実施させて頂き、純粋に作品と向き合うことの大切さを訴求しました。その会に参加して下さった方が撮って下さった貴重で大切な1枚です。


★★★JCDN MENBERSページ プロフィールhttps://jcdn-web.org/members/members-3034/

■JCDN 「踊りに行くぜ!!」これまでの成果と「サード」に向けたアンケート②批評家
https://jcdn-web.org/news/news-382/

■JCDN 公演レビュー
『ASYL』 DANCE×MUSIC×MOVIE!:https://danceplusmag.com/?p=9162
2008年4月号「踊りに行くぜvol.8 SPECIAL IN OSAKA」:https://log-osaka.jp/article/index.html?aid=313

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

Monochrome Circus 33周年記念公演 クロニクル  [ダンスプレビュー]

京都を拠点に活動するMonochrome Circusが2023年、結成から33年を迎えた。コロナ禍の影響を避けるため本公演は2024年の上演としたが、開催にあたっては“これまで”と“これから”を“観客と歩んでいきたい”との願いを込め、クラウドファンディングにも挑戦した(成果は目標金額の2倍以上というもの)。

私自身も彼らのワークショップに参加することでダンスを自分の身体で感じ、言葉にすることを学び続けてきた(ありがたし)。そして、私のように彼らのワークショップや作品を通じて多くの人がダンスに親しみ、時にはダンスに関わる職業を選ぶ人が登場するまでになっている。彼らの歩みは影響力が非常に大きいといえるだろうと思う。

彼らの影響力の大きさは、今回上演される『クロニクル』の出演者の顔ぶれをみても確かだ。33年という年月の間にはカンパニーに参加し、離れた者も(メンバー同士で結婚した者も)いる。子供の頃にワークショップに参加し、大人になった今も時々踊る者、世界を舞台に多彩なアーティストと共演をしている者、ダンス界の第一線で活躍する者、森裕子の教えるバレエ教室の若者たちまでいる。多くの出演者がそれぞれの人生において影響を受け、今を生きているのだ。

また、33年を記念する公演の楽しみはメンバーの顔触れだけにとどまらない。過去に上演された作品をみたことのない観客にとってはまたとない出会いの場であり、再演として出会い直す観客にとっては懐かしさに加え、新たな発見や気づきをもたらすだろう。

Monochrome Circus がどんな作品たちと共に進化・成長をしてきたか、その歩みを確かめることのできる貴重な公演だ。ラインナップも出演者も多彩で豪華。ぜひ見逃さず、会場に足を運んで頂きたい。超、おすすめ(笑)!


■日時:2024年 2月3日(土)17:00開演/2月4日(日)14:00開演
会場:京都府立文化芸術会館
■詳細https://monochromecircus.com/lp/chronicle/
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

ポスト舞踏派『魔笛』 [ダンス/レビュー]

Sold outになってしまって諦めていたこの公演。追加チケットを手に入れて、なんとかみることができました。敬愛する笠井叡さん、今をときめくキレッキレのダンサー5名が参加するというだけでもどうやって書こうか迷うところなのに、そこにフリーメイソンなど私の知らない世界のことが絡んでいる・・・うわーん、そんなの掘り下げないと書けないじゃーん、と絶句していましたが、このままでは膨大な学習時間を擁してこれっぽっちも進まないので(苦笑)、不完全な理解のままでも、感じたことを書いておくことにしました。


冒頭、カツンコツンと下駄履きの森山、辻本、菅原、島地、大植らが赤い番傘をさしながら客席後方ドアから(3階席からはスタート地点は見えなかったのですが)登場し、舞台へあがってきます。ワイワイガヤガヤと何やら会話しながらはじまるその立ち上がりは、西洋歌劇『魔笛』という雰囲気とは異なり、カジュアルな印象でした。この時の4人の衣装はシンプルに黒いパンツに白シャツだったように思いますが、この不思議な「和テイスト」はラストシーンでも採用されています。その際には歌舞伎役者をイメージさせるようなカラフルな衣装で、しゃべりも七五調でそれぞれ自己紹介をするというものでした。作品全体を通して、5人のダンサーがちょこちょこ笠井さんをユーモアを添えて茶化しているようなシーンが盛り込まれていて、笠井さんと年の離れたダンサーたちがわいわいやっている感があって、楽しい作品だと感じました。

キャッチコピーには「その時、秘密結社は消滅し、すべての人間がフリーメイソンとなる」とあるので、私などはちょっとオカルト的な緊張感を感じていたのですが、フリーメイソンは「会員相互の特性と人格の向上をはかり、よき人々をさらに良くする」ことを目的とした友愛結社(親睦団体)ということらしく、決して怖い組織ではないようです。

笠井さんのオイリュトミーのワークショップや講義などに参加したことのある私には、この作品は笠井さんの人類に対する愛なんだと思いました。当時、モーツァルトがオペラを通じて行ったこと(フリーメイソン内で秘密として共有されてきた人類がより善く生きていくための知見のようなものの公開)を笠井さんはさらに、組織や権威、言語から解放し、ダンスとして体現することで誰にでも享受できるように再編したのだと思います。作品中で笠井さんはちょいちょい、宇宙的な身体論を盛り込んでいたように思います(例えば「逆さ人間」の話。人間を頭から地面に挿すと、そこから人が殖えることが出来るようになるため、人類は男女が生殖行為をする必要がなくなる・・・といったような内容のこと)。黒いマントのような衣装にサングラスといった姿の笠井さんはザラストロという悪者の役割ですが、作品中で人類の救済の叡智を語っているのだとも思いました。ここは5人のダンサーたちが笠井さんを茶化すという演出と同じように、本来の魔笛の設定と逆のような立場をとることで、モーツァルトよりもさらに解放を推し進めるように意識しているのかな、とも思いました。
また、個人的に最も衝撃的だったのは挿入された映像。モノクロの映像で、身体の肘?のクローズアップから、ぼんやりと見えてきたのは上半身裸の老いた女性・・・これがなんと笠井さんの奥様・久子さん(!)と、寄り添うように踊る笠井さんのデュエットシーンでした。もう、この映像から人類が殖えちゃいそうな(表現おかしいかな;)美しく忘れがたい1シーンでしたが、タミーノとパミーナ、パパゲーノとパパゲーナ、どちらのカップルでもない第3のカップルの挿入によっても、笠井さんがこの作品でめざした新たな時代の友愛・解放が示唆されたように思います。


ラストシーン近く、笠井さんが宙づりになるシーンがありました。肩口あたり?にセットされた装具からワイヤーで舞台床と天井の中間あたりにブラーンと吊られていましたが、みている方としては心配で心配で(笑)。うっかり落ちやしないか、ちゃんと息をしているか、誤って変なところで過度な締め付けになっていないかなど、ハラハラです。笠井さんも吊られている間、死んだように動かないので、余計に心配でした(苦笑)。ただ、このシーンはザラストロという古い観念の死だったりするのだろうかとも思いました。確か笠井さんは作品中で「私はもう、ここを離れます!」みたいなことを言っていたので、本気で地球からいなくなるつもりなのかも知れません。え?私、変なこと言い出してますか?!


ロビーで笠井さんの著書『檄文』が限定300部(しかもサイン入り)で、お弟子さんが「笠井さんはもう、ここにすべてを書いたので、今後は書かないと言ってました!一般書店では買えません!」と販売されていたので、脊髄反射的に購入してしまいました(笑)。この本を読みこんで、この記事も書こうと思っていたのですが、まだ時間がかかりそうなので、先に感想的な文章をしたためることにしました。著書にはご両親のことや今回の『魔笛』のことや、日本語についてなど、本作品を深く掘り下げることのできそうな文書の数々が並んでいて、読み進めるのがとても楽しみな内容です。確かに、この著書には笠井叡がぎっしり詰まっているように思います。読破して、また追記・編集するかも知れませんので、その際にはまたお知らせしますね。

作品と著書のダブルワクワク。やっぱり笠井さんは、私の永遠のアイドルですね~。ひゃぁ、たまんないっす。


*文章がとっ散らかってしまい、恐縮です。。



■日時:2024年1月8日(月) 
■会場:神奈川芸術劇場 大ホール
■振付・演出・構成​:笠井叡
https://www.post-butoh-ha.com/
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

PERFECT DAY [映画]

*本題までの前書きが長いです。前半は『PERFECT DAY』のレビューというより、前段。不要な方は読み飛ばして下さいね。


<あなたが映画を選ぶ理由はなんでしょう?>

映画をみようと思うきっかけは人それぞれ。では、ご自身がどんな映画を選んでみているかは意識されているでしょうか?

先日、ある方から1つの映画作品を薦めて頂きました。出演者によく名前の知られたダンサーがいたこともあり、その方は私にその作品を薦めて下さったのかも知れません。私自身も、先ず出演者の情報を伺い「わーい、それみたーーい!」とはしゃいでしまった(笑)のですが、作品についての詳細情報のリンクを頂いて愕然とします。戦後の混乱の中で身を売りながら日々を生きる女性と、戦争孤児となった少年とのふれあいや、戦争で傷を負った男との関わりなどを通して人間というものが描かれている内容だったのです。私は、なぜか女性が身を売ることなど女性特有の性にまつわるエピソードが苦手で、受け入れられないことがほとんどです。とても辛く苦しい気持ちになり、身体的にも影響が出てしまうほど。出産といったおめでたいことですら、少ししんどい気持ちになってしまうので、かなりの重症だと自覚しています(苦笑)。

友人にその話をしたところ「心揺さぶられる問題作とかよくあるけど、別に揺さぶられなくていいから。無理してみなくていいよ。」とバッサリ(笑)。では、私自身はどんな映画がみたいのだろうと考えてみました。

実は先日、沢田研二さんが出演されるのが気になり録画していた、山田洋二監督の『キネマの神様』を見始めたのですが、沢田さん演じる主人公はギャンブルで借金を重ねるどうしようもない人物。私は悲惨な物語の展開を想像して辛くなりかけたのですが(苦笑)、主人公はどこかほのぼのとしている。娘や妻から借金をしないよう厳しく責められるのですが、子どものようにダダをこねている。娘はこれまでに父親である主人公の借金を肩代わりしてきていますが、今は自身の仕事もまもなく先がなくなるような辛い立場。それなのに男に映画の会員権の会費は面倒をみてやるといっているのです。・・・そう、山田洋二監督は人をこのように描くんですよね。子供のころ、私は両親に正月になると必ず『男はつらいよ』の映画をみに連れていかれた時の感覚を思い出しました。両親たちは寅さんのどうしようもなさを軸に描かれる人情のぬくもりに暖をとるように毎年、山田洋二監督の『男はつらいよ』をみていたのだと思います。両親ともに仕事には苦労をしていましたし、暮らしもさほど余裕はなく、きっと日常は辛い思いをしていたと思います。見はじめた『キネマの神様』から、私は自分が選びたい映画は自分がほっと息をついたり、そっと温まるようなものを求めるのではないかと直感しました。


<ようやく『PERFECT DAY』についての感想を>

日常にささやかな幸せをみつける、という印象を持っていた『PERFECT DAY』を選んでみることにしました。監督はドイツ人のWIM WENDERS。『ベルリン・天使の詩』('87)や『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』といった作品を手がけている方でした。ピナ・バウシュのドキュメンタリーはピナの死後、私もみていて、彼女の人生や魅力を伝える優れた作品だと感じていましたが『PERFECT DAY』は、主人公・平山の日々を追った詩的なドキュメンタリーのようでもあり、音楽が美しく織り込まれたロードムービーのようでもあると感じました。上演時間は2時間20分ですが、時間を忘れてひきこまれました。

日常にささやかな幸せをみつける・・・私の最初の印象は言葉としては同じかも知れませんが、そこには平山という人物の描かれ方・・・描かれていない余白の奥深さが加わることでニュアンスが変わったと思います。日々を慎ましく、無口であまり人と関わらず、ほぼ同じ日常動作のルーティーンに生きていると書くと、無味乾燥な人物とも思われそうですが、彼にとっての日常は、木漏れ日のように二度と同じもののない輝きと美しさに満ちている。朝、仕事場に向かうたびに見上げる空をみて、ふっとみせる微笑みや昼食をとるために立ち寄る神社の境内には“友だちの木”がいたりする。慎ましい暮らしといえど、職場には高速道路を使って移動していますし、毎週末ごとに撮りためた木の写真を現像して満足しない写真は破り捨てるなどこだわりもあり、文学作品を読みふけるなど知性もある。ちょっと気になる美人ママのいる居酒屋の常連客でもあります。また、作品の中で平山の生い立ちが垣間見られる設定があるのですが、そこにはどうしようもない理由から断ち切られたであろう家族への想いがあふれるシーンがあります。封じ込めた想いや、止まってしまった時間がどうしようもなくそこには根雪のように溶けることが出来ずにあるのでしょう。劇場では涙する観客もチラホラ。私もグッときてしまいました(笑)。

ラストシーン、車を運転する平山の顔をアップにしたシーンでは、役所広司さんの深い演技が圧巻です。微笑みとこみ上げる悲しみや淋しさが往来し、その表情は木漏れ日のようでもありました。美しく、人生の深さを感じる素晴らしいシーンでした。

監督がドイツの方ということもあるのでしょうか。日本を描く切り口も新鮮でした。平山の暮らす場所は東京スカイツリーの近くで、都会と人情的な下町とが同居するような場所です。平山の住むアパートの裏にはお寺があるようで、毎朝その場所を箒で掃き清める音で平山は目覚めています。作品の中に登場する魅力的なデザインの公共トイレは『THE TOKYO TOILET』というプロジェクトでつくられたもので、世界的な建築家やデザイナーが手がけているそうです。どのトイレも平山がピカピカに磨き上げていましたが、監督はこのプロジェクトに深く感銘を受けたとあるTV番組では紹介されていました。訪れてみたいトイレです。

あと、なんと作品中には田中泯が登場しています!知らなかったので、超ビックリです(笑)。平山にしかみえないホームレスという設定なのですが、踊ってるんですよー、舞踏。もう、嬉しすぎて声をあげそうになっちゃいました。思わぬところで踊る人が登場してくれて、テンション爆上がりでしたね。


<長文になって、すみません>

映画のレビュー、書き慣れないこともあって、長文になりました。ん?レビューといえるのかしら(笑)。すっかり魅了されて映画館を出た私。この作品を選んで良かったなと、とても幸せな気持ちで満たされました。いい映画です。


■PERFECT DAY: https://www.perfectdays-movie.jp/




nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

このブログへのアクセス数が60,000を越えました。  [Thanks!]

こちらのブログ、2023年は何と年間を通して4件という投稿数で、自分でも『・・・こんなに書けていなかったのか;』と愕然しましたが(苦笑)、2024年に入り、書く元気が戻ったようでコツコツ投稿することが出来ております。ようやく?心の中にあったブロックみたいなものから抜け出せたようです。書き出してみると、どうしてあんなに書かなかったんだろうと思うほど。しかも楽しみながら取り組めているから不思議です。諦めず続けてきて良かったなーって思います。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!


     2024年1月17日 Arts&Theatre→Literacy 亀田恵子 
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』2024 [古典]

クルマを運転していて、偶然聞いたラジオ番組は。講談師の神田伯山さんが30分間ブラックユーモア満載で話し続ける番組でした。なんだかおもしろいなぁと思って、長時間運転するときによく聞いている音楽のサブスクサービスで過去番組を聞くようになり、youtubeで講談動画をみて、いよいよライブで聞きたい願望が膨らみました。そこで、公演情報を探したところ、新年早々名古屋で“連続読み”というスタイルでの公演が開催されることを知りました。

神田伯山さんは“日本一チケットのとれない講談師”と呼ばれているほどの実力者で、連続ものといわれる長大な作品を連続して聞かせる連続読みというスタイルに取り組むなど、講談世界の革命児としても注目されている方です。何より、日常のエピソードを絶妙に織り込み、圧倒的な迫力・繊細な演技力で物語の世界へ観客を引き込んでいく話芸は見事のひと言。張り扇と呼ばれる扇のようなもので釈台(講談師の前にある文机みたいなもの)をバシバシ叩いてテンポアップしていくと、観客のテンションあがる、あがる(笑)。語られる世界が目の前に拡がっていくようで、ワクワクしちゃいます!

今回の『畔倉重四郎』は“本能のまま欲望のままに殺しを繰り返す”というサイコパスみたいな人物が主人公の物語のようですが、なんて恐ろしい(苦笑)。この物語を5日間にわたって毎日語るそうなのです。ただし、前夜祭というプレ講談のような1日が設定されていて、本編以外の講談が語られます。ちょっとしたウォーミングアップ・初心者向けのきっかけづくりのようなものでしょうか。私はまずは、この前夜祭に出かけてみることにしましたが、物語の登場人物の語り分けや畳みかけるような熱い語りで神田伯山の魅力・実力にすっかり魅了されてしまいました。・・・勢い、もう1日分チケットを手配してました(笑)。

まだチケットが残っている日もあるようなので、興味がわいた方はぜひ。
日本の話芸の魅力、新たな講談の歴史を切り拓く若き巨人の奇跡を目撃して下さいね。

■神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』2024 詳細:
https://www.kandahakuzan.jp/news/2023/-2024.html

【名古屋】2024年1月16日(火)〜21(日)18:30開演/18:00開場 中電ホール

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

プロメテの火 [ダンスプレビュー]

20世紀の初期に外国から移入され、洋舞と呼ばれた日本のモダン・ダンス。大きく発展していく流れの中で上演された作品に今回ご紹介する『プロメテの火』があげられると思います。この作品は江口隆哉・宮操子舞踊団により1950年に初演され、1950年代は全国を巡演されましたが、1960年代になると劇場での火の使用が消防法の規制を受け、上演されなくなっていました。しかしその後、2000年に江口隆哉の遺品から『プロメテの火』の録音が発見されたことや、2009年に宮操子の遺品から『プロメテの火』全曲版のスコアが発見されたことなどをきっかけに、門下生を中心に再演が行われます。何度も再演されるほど、優れたダンス作品であるとも言えますし、題材となったギリシャ神話のプロメテ (プロメテウス)には時代を超えた普遍的なテーマが含まれているのかも知れませんね。

今回の上演は、日本のモダン・ダンス(現代舞踊)の歴史を振り返る意味だけでなく、圧巻の群舞や現代の解釈でのバリエーションも加えられるため振付や演出の妙味も楽しめると思いますよ。

上演地は長野県岡谷市を皮切りに、秋田市、青森県八戸市と巡演。ダンスを追いかけ、旅をするのも楽しそうです。私は岡谷市へ出かけようと思います。レビュー執筆のご依頼も頂いていますので、こちらもどうぞお楽しみに。

■詳細:いま甦る伝説のDANCE「プロメテの火」:
http://www.gendaibuyou.or.jp/stage/stage-p/s24012001?fbclid=IwAR0ddPqNS-_7RwZVzMPtEDtdlsk3nE_3BE_UU1s5FGJNStG8uLLxt4li91Y

■日時
<岡谷公演>
カノラホール 大ホール
2024年
1月20日(土) 開演19:00
1月21日(日) 開演14:00
(開場は各開演の30分前)

<秋田公演>
あきた芸術劇場ミルハス 大ホール
2024年
1月24日(水) 開演19:00
1月25日(木) 開演14:00
(開場は各開演の30分前)

<八戸公演>
八戸市公会堂 大ホール
2024年
1月27日(土) 開演19:00
1月28日(日) 開演14:00
(開場は各開演の30分前)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

111年目の中原淳一展 [アート]

ダンス公演に足を運ぶ際、あわせて美術館に立ち寄ることも多いです。先日は横浜まで足を伸ばす機会があって、そごう美術館の『111年目の中原淳一展』を訪れました。あれ、今日は偶然にも1月11日。ゾロ目が続きましたね(笑)。

中原淳一は1913年に香川県で生まれ、人形作家からそのキャリアをスタートしていますが、終戦からちょうど1年後の1946年に女性向け総合雑誌ともいえる『それいゆ』を創刊しました。戦後、日本の多くの人々は日々を生きることに精一杯だったと思います。物も少なく、貧しい暮らしを余儀なくされている状況だったはずですね。そんな状況の中、中原の手がけた『それいゆ』は日々の暮らしの中で人々が夢や希望をもって美しい暮らしを志すことを願って創刊されました。黒髪をモダンにアレンジした個性豊かな髪型(特にショートヘアの前髪が超かわいい!)や、銘仙の愛らしい着物や、花の名前がつけられたオリジナルデザインのカラフルなファッション画は女性たちを夢中にさせました。その後、戦後に創刊された少女向け雑誌『ソレイユ』では少女たちの美しさを育む要素として、川端康成などの小説も織り込んだことは特筆すべきことだと感じます。最新スタイルの紹介や着こなし、ヘアスタイルのアレンジ方法や小物選びのノウハウと並んで、一流文学作品が織り込まれているなんて、すごくステキですよね。

中原の描く女性や少女たちの多くが前髪が短めで、眉や額が美しく描かれています。可憐なファッションをまといつつも、強い意志の感じられるバランスがさわやか。私はずっと前髪で眉が隠れるようなヘアスタイルでしたが、今年はちょっと額を出すような髪型にしてみようかなと思いました。日々、美しさを意識しながら凛といきてゆくことに憧れを込めて。

111年目の中原淳一展は横浜そごう美術館で1月10日(水)まで開催した後、全国を巡回予定です。

■111年目の中原淳一展:https://nakahara111.exhibit.jp/
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

名古屋能楽堂 正月特別公演 [古典]

能楽の『翁』がみたくて、お正月の3日に名古屋能楽堂に出かけました。

パフォーミングアーツに関心を持つようになってすぐ能楽にも興味がわきましたが、能楽が物語や謡(うたい)、和楽器の演奏(笛・小鼓・大鼓・太鼓)だけでなく、やはり舞が私には魅力的だと感じたからでしょうか。多くの能の演目が季節に分類される中で、『翁』は「能にあって能にあらず」と呼ばれるように能のどのカテゴリーにも属さない、儀式色の濃いものです。また、正月初会や祝賀能などに演じられるため、いつでもみられるわけではありません。年末にふと思い立って探したところ、地元愛知県の能楽堂で上演されることがわかり、出かけることにしました。

『翁』の詳しい解説はいくつかあるので、ぜひご参照頂きたいのですが、やはり厳粛な雰囲気や『え?!それってすごい身体能力なんだけど!?』という、三番叟の揉みの段(テンポの速い足拍子を強く踏む超アクティブな動きで“烏飛び”“種卸(たねおろし)”“種蒔”“面返(おもがえ)り”などの動作がある)が私にはワクワクでした。揉みの段の足さばきなんて、バレエの足のポジションを見ているようで驚きました。日本の古典の足さばきって、着物などで見えないことも多いので知らなかったのですが、かなりの身体能力が求められそうです。

ちなみに、『翁』というのは老体の姿をした神だとか。今よりもずっと生存が難しかった時代では、お年寄りになるまで生きていること自体が貴重で、それまでの出来事を記憶してくれている「生きた辞書」のような存在として尊ばれていたようです。まさに、お年寄りは存在自体が奇跡であり、パワースポットだったんですね。現代では、お年寄りが疎まれることも多くなったように感じますが、少し視点を変えて、自分より1日でも長くこの世界に生きている人に敬意をもって過ごしていけたらいいなと感じます。また、自分よりも若い人たちに尊敬してもらえるような存在になれるよう、日々大切に学んでいきたいと思います。

年の初め、縁起の良い『翁』をみて、そんなことを感じています。

■名古屋能楽堂 正月特別公演:https://www.nohgaku.or.jp/performance/nagoya_202401
■翁についての詳しい解説:https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_067.html


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

2024年もどうぞよろしくお願いいたします。 [ごあいさつ]

起きるはずのないことが次々に現実になっている・・・そんな2023年の年末から2024年の年始ですが、私たちは前に進むしかない宿命を背負っているように思います。目の前で起きている現実になかなか追いつけない私ですが、それでも自分ができることを実行していこうと、志を新たにしております。

年明け、ある専門誌からご依頼を頂いた原稿を書きあげ、ここ最近の自身の曇りが晴れるように感じました。この充実感や安定感は、私にとって他では得られない感覚であり、確かに自分の中にあるものだと体感できました。「自分にできることとの出会い直し」とでも言えそうです。ここ数年、会社員生活の中で感じ続けていた不足感と並べてみたとき、どちらがより自分らしさを感じる営みであるかが明確になったと腹落ちしました。もちろん、会社員の仕事も糧を得ていくためには欠くことのできない大切なものですが、真実に生きるという道を思い出せたということだと思います。

新年から少し重い口調になってしまいましたが(苦笑)、よりスッキリとした感覚でこの文章を書いています。この感覚・意識をもってこれからの1年を歩んでいこうと思います。

本年どうぞよろしくお願いいたします。

 
     2024年1月9日 Arts&Theatre→Literacy 亀田恵子 

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:アート