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ダンス・コンサート イスラエル・ガルバン『春の祭典』 [ダンスプレビュー]

今回ご紹介する公演は、どの切り口からご紹介しようか迷うほど魅力ある公演だと感じています。
・・・さて、余すところなくお伝え出来るでしょうか(笑)。


先ずはじめにこの作品の大きな特徴は「ダンス・コンサート」という公演スタイルにあるかも知れません。ダンス作品は身体表現のジャンルですが、音楽とは切っても切り離せないもの。でもあえて「ダンス」と「コンサート」と、2つの要素を併記するには理由がありそうです。

今回の作品を踊るイスラエル・ガルバンはフラメンコにダンスの出自を持っているダンサーですが、フラメンコは本来ダンサーだけが主役ではなく、踊りと歌、ギター伴奏が家族のように一体となって繰り広げられるものですね。これに対し、2016年にあいちトリエンナーレで上演(日本初演)された『SOLO』で彼は歌・踊り・曲の3要素を一身に担うという実験的な試みに挑戦し、フラメンコに新たな可能性をもたらしました。そして、2021年。今回は2台のピアノで『春の祭典』というバレエ曲としてつくられた曲(*この曲はロシアの作曲家・ストラヴィンスキーによって作曲されましたが、曲のテーマも含め当時のバレエ音楽の常識を破るものだったため、大変なスキャンダルになったといわれています)を踊るという革新的な挑戦になっているんです。・・・あーー、もう、どれだけ革新要素を積んでいるんでしょう!・・・と、思わず書いていて興奮しそうなテンションになります(笑)。オーケストラ曲として演奏されることの多い『春の祭典』を2台のピアノと共にダンス・コンサートとして上演・・・もう、どんなアレンジになっているのかワクワクが止まりません!

コロナ禍の影響で、当初予定されていたピアニストが日本人の片山柊と増田達斗に変更になっていますが、これも偶然とはいえ、新たなコラボレーションの可能性を感じさせる必然になるのではないでしょうか。


そしてそして(・・・興奮がおさまりません:笑)、なんといっても踊られる曲が『春の祭典』だということ。ここから先は私・亀田の個人的な趣味になってしまいますが、私は舞踊作品となった『春の祭典』が本当に大好きなんです。ちょっと重いテーマだったりするのですが、そうしたテーマを舞踊の中にみて現実と向き合わせてもらう経験が大切だと感じているからかも知れません。

これまで多くの舞踊家がこの曲を舞踊作品化していますが、例えば・・・床に土を敷き詰めた舞台で繰り広げられるピナ・バウシュの土着的でありながら普遍的な集団心理の闇を感じさせる表現や、肉体美が強調されたボディ・タイツ姿の男女が織りなす野性的で官能的なモーリス・ベジャールの表現は、私には大変衝撃的でした。日本ではH・アールカオス(1999年・愛知)がオーケストラと壮大な世界観を表現していますし、直近ではNoismが実験的舞踊Vol.2でダンサーがオーケストラの楽器1つ1つが奏でる音を踊るという独自な世界観に挑戦(2020年)しています。この曲は演奏するのも踊るのも難解な曲だといわれていますが、1913年の初演以来多くの挑戦と革新の母体となっていて・・・ああ、だめだ、「春祭愛」が止まりませんっ。無限に紹介し続けそうです、誰か止めて下さい。。。


・・・コホン。少し冷静さを取り戻しつつ(笑)。


最後に、やはりなんといってもイスラエル・ガルバンの熱い情熱(というと少し軽くなってしまうのですが・・・)と高い身体能力から生まれるキレのあるダンスは必見だと感じます。踊る彼をこれまで何度か拝見してきましたが、ダンスをみるということの魅力や幸せを感じさせてくれる稀有な存在だと感じます。ダンスをみるということ・・・それは深めれば深めるほど、自分の魂が揺さぶられるような独特の感覚を与えてくれます。動けない自分があたかも自在に舞い上がれるような、そんな高揚感とともに「あー、なんか明日からがんばれそう!」って笑顔にしてくれるんですよね、ダンス最高っ(笑)。


今回の上演ツアーはコロナ禍の中、さまざまな関係者のみなさんの努力が実っての公演実現だと聞いています。ご都合のつく方は、ぜひ、足をお運び下さいね。亀田は気合とともに愛知の2公演に通いますっ(笑)!会場でお会いしましょうね。良かったらお声がけ下さい。感動をシェア出来たら幸せです!



■日時:

愛知公演:2021年6月23日(水)18:30開演/6月24日(木)14:00開演
神奈川公演:2021年6月18日(金)18:30開演/6月19日(土)14:00開演/20日(日)14:00開演

*『SOLO』神奈川のみ上演決定:2021年6月28日 (月) 18:30/6月29日 (火) 18:30

■会場:
愛知公演:愛知県芸術劇場コンサートホール
神奈川公演:KAAT神奈川芸術劇場大ホール
*『SOLO』:横浜市役所1Fアトリウム (神奈川県横浜市中区本町6-50-10)


★詳細情報・最終確認は下記リンク先でお願いします(コロナ禍のため、開演状況などは公演直前までご確認されることをお勧めします)
春の祭典特設サイトhttps://danceconcert.jp/
SOLO上演情報https://spice.eplus.jp/articles/286943




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