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カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし [映画]

学生の頃、部活の後輩の熱烈な誘いで『魔女の宅急便』(スタジオジブリ作品:1989年)を見に行きました。予備知識がなく出かけた私でしたが(いつものことか;)主人公のキキが悩みを抱えつつも、周囲の個性豊かな人々に支えられて成長していく姿が印象深く、ステキだと感激しておりました。ただこの時、原作者がいることを全く意識していませんでした(すみません;)。

そんな私。今年に入って出かけた映画館でひときわカラフルなフライヤーに目が留まり、手に取ると『カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし』とあります。マゼンダピンクの背景に、ビビッドカラー+花柄模様のワンピース+四角いフレームでこれまたビビッドカラーの眼鏡をかけたシニア女性が笑っています。みているだけでワクワクしてくるおしゃれセンス、いったい何者?!と注視してみたら、この人が『魔女の宅急便』の原作者だとわかりました。

作品は鎌倉に暮らす角野さんの暮らしを追ったドキュメンタリー。明るくてチャーミングな人だな、というのが第一印象でしたが、年齢を知って仰天。なんと88歳。朝から夕方まで執筆活動をこなしながら、お散歩を楽しんだり、小学校で子どもたちと“なぞなぞ”作りを通して生きるヒントを伝えたりと、みる限り既存の“お年寄り”という言葉は当てはまりません。また、角野さんがイキイキと輝いてみえるのは彼女のファッションの影響も大きいかも知れません。ひとり娘のりおさんがコーディネートされているというカラフルなファッション。どれもピンクや鮮やかなブルーなど目にすると元気になれる色使い。ユニフォームともいえるこのワンピースは独自の型紙で、オーダーメイドで縫ってもらっているそう。身体にストレスをかけないゆったりとしたシルエットで、動きやすさを大事にしているのだとか。『身体が気持ちいと感じることが優先なのよ』と角野さんはおっしゃっていました。こういう点、参考にしたいなと思いました。そうそう、派手めの色とユニークな形(六角形や大きな丸など)の眼鏡も、角野さんのトレードマークなんだそうですよ。先日、私も初めて眼鏡をつくりましたが、赤いフレームで左右が四角と丸の楽しいものにしてみました(笑)。気分が明るくなるのを実感していますので、カラフルなものを自分の味方にするのって、パワーを与えてくれる良い選択なのかも知れません。

私も50代に入り、自身の人生の先行きを考えることが増えたのですが(基礎疾患があるというのも影響しているかも)、この作品で最も心に残ったのは、角野さんがデビュー作の『ルイジンニョ少年ブラジルをたずねて』のモデルとなったブラジル人のルイジンニョさんとオープン間もない「魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)」で、62年ぶりの再会を果たされた時のシーンでした。ご自身より年下のルイジンニョさんが衰弱されているのを感じた角野さんが、そっとやさしく抱擁する姿にじーんときちゃったんです。ルイジンニョさんは「必ずまた会いに来るよ」とくりかえしますが、その言葉は恐らく叶えられないように思えます。このシーンで私は「人生の残り時間」というものを想いました。時間が進むことを誰も止めることはできませんし、それにつれて自身が老いていくことも避けることはできません。そんな中で、やってみたいことや叶えたい夢があるということの意味を想ったのです。残された時間の中で、どれだけのことが許されるのか・・・。考えると切なさがこみあげてくるのですが、だからといって諦めて動きを止めてしまうのももったいないですよね。

作品の中で角野さんは「思い出っていうのは過去のことですよね。でも、それが未来で待っている。」と、ルイジンニョさんとの再会についてお話されるシーンがありました。もちろんこれは年齢を重ねることへの肯定とも言えますが、今を精一杯生きることの大切さや奥深さを言っているようにも感じます。私たちの人生という時間は、過去・現在・未来が時に驚くようなタイミングや方法で交差し、幸せな循環を生み出してくれる・・・そんなことが伝わってくるように思いました。エンドロールを眺めながら『くううう、私も角野さんみたいにカラフルに生きたいものだわっ』などと、小さく握りこぶしをつくっている私でした。なぜ握りこぶしなのか、それはちょっと自分でも意味不明ですけどね(笑)。


カラフルな魔女https://movies.kadokawa.co.jp/majo_kadono/
*愛知県では2024年2月12日現在、伏見ミリオン座(https://eiga.starcat.co.jp/)とミッドランドシネマ名古屋空港(http://www.midland-cinema.jp/movie/show)で上映中ですね。

■魔法の文学館https://kikismuseum.jp/
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