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神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』2024 [古典]

クルマを運転していて、偶然聞いたラジオ番組は。講談師の神田伯山さんが30分間ブラックユーモア満載で話し続ける番組でした。なんだかおもしろいなぁと思って、長時間運転するときによく聞いている音楽のサブスクサービスで過去番組を聞くようになり、youtubeで講談動画をみて、いよいよライブで聞きたい願望が膨らみました。そこで、公演情報を探したところ、新年早々名古屋で“連続読み”というスタイルでの公演が開催されることを知りました。

神田伯山さんは“日本一チケットのとれない講談師”と呼ばれているほどの実力者で、連続ものといわれる長大な作品を連続して聞かせる連続読みというスタイルに取り組むなど、講談世界の革命児としても注目されている方です。何より、日常のエピソードを絶妙に織り込み、圧倒的な迫力・繊細な演技力で物語の世界へ観客を引き込んでいく話芸は見事のひと言。張り扇と呼ばれる扇のようなもので釈台(講談師の前にある文机みたいなもの)をバシバシ叩いてテンポアップしていくと、観客のテンションあがる、あがる(笑)。語られる世界が目の前に拡がっていくようで、ワクワクしちゃいます!

今回の『畔倉重四郎』は“本能のまま欲望のままに殺しを繰り返す”というサイコパスみたいな人物が主人公の物語のようですが、なんて恐ろしい(苦笑)。この物語を5日間にわたって毎日語るそうなのです。ただし、前夜祭というプレ講談のような1日が設定されていて、本編以外の講談が語られます。ちょっとしたウォーミングアップ・初心者向けのきっかけづくりのようなものでしょうか。私はまずは、この前夜祭に出かけてみることにしましたが、物語の登場人物の語り分けや畳みかけるような熱い語りで神田伯山の魅力・実力にすっかり魅了されてしまいました。・・・勢い、もう1日分チケットを手配してました(笑)。

まだチケットが残っている日もあるようなので、興味がわいた方はぜひ。
日本の話芸の魅力、新たな講談の歴史を切り拓く若き巨人の奇跡を目撃して下さいね。

■神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』2024 詳細:
https://www.kandahakuzan.jp/news/2023/-2024.html

【名古屋】2024年1月16日(火)〜21(日)18:30開演/18:00開場 中電ホール

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名古屋能楽堂 正月特別公演 [古典]

能楽の『翁』がみたくて、お正月の3日に名古屋能楽堂に出かけました。

パフォーミングアーツに関心を持つようになってすぐ能楽にも興味がわきましたが、能楽が物語や謡(うたい)、和楽器の演奏(笛・小鼓・大鼓・太鼓)だけでなく、やはり舞が私には魅力的だと感じたからでしょうか。多くの能の演目が季節に分類される中で、『翁』は「能にあって能にあらず」と呼ばれるように能のどのカテゴリーにも属さない、儀式色の濃いものです。また、正月初会や祝賀能などに演じられるため、いつでもみられるわけではありません。年末にふと思い立って探したところ、地元愛知県の能楽堂で上演されることがわかり、出かけることにしました。

『翁』の詳しい解説はいくつかあるので、ぜひご参照頂きたいのですが、やはり厳粛な雰囲気や『え?!それってすごい身体能力なんだけど!?』という、三番叟の揉みの段(テンポの速い足拍子を強く踏む超アクティブな動きで“烏飛び”“種卸(たねおろし)”“種蒔”“面返(おもがえ)り”などの動作がある)が私にはワクワクでした。揉みの段の足さばきなんて、バレエの足のポジションを見ているようで驚きました。日本の古典の足さばきって、着物などで見えないことも多いので知らなかったのですが、かなりの身体能力が求められそうです。

ちなみに、『翁』というのは老体の姿をした神だとか。今よりもずっと生存が難しかった時代では、お年寄りになるまで生きていること自体が貴重で、それまでの出来事を記憶してくれている「生きた辞書」のような存在として尊ばれていたようです。まさに、お年寄りは存在自体が奇跡であり、パワースポットだったんですね。現代では、お年寄りが疎まれることも多くなったように感じますが、少し視点を変えて、自分より1日でも長くこの世界に生きている人に敬意をもって過ごしていけたらいいなと感じます。また、自分よりも若い人たちに尊敬してもらえるような存在になれるよう、日々大切に学んでいきたいと思います。

年の初め、縁起の良い『翁』をみて、そんなことを感じています。

■名古屋能楽堂 正月特別公演:https://www.nohgaku.or.jp/performance/nagoya_202401
■翁についての詳しい解説:https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_067.html


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