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アートに出来ること(3) [今だから]

*以下、職場環境や職種によって在宅が難しかったり、在宅では完結出来ないお仕事もある中、少し私自身の置かれた環境下で文章を綴ることをお許しください。


2020年5月1日、在宅勤務をはじめてちょうど1ケ月が経過しました。不思議なもので、通勤に費やす時間が短縮されて余裕が出来たはずなのに、かえって気持ちにはスキマがなくなったような閉塞感を感じます。それでも1日に1度のオンラインミーティングでは、所属チームの上司がメンバーの出欠確認をとることが新たな日課となり、交わされるささやかなジョークや何気ない報告が元気をくれるようです。

このような新たな日常の中で、私のいちばんの楽しみは小さな鉢植えの中の植物の生長を見ることになりました。町の農協で購入してきたときには少し弱々しいほどだったエンドウが、今ではすっくと伸びて小さなツルをあちこちに巻き付けて花を咲かせるようになりました。その瑞々しい茎や葉っぱ、何よりその勢いはずっと見ていても飽きないほどです。植物はその場にいて動かないように見えるのに、日々確実に成長しています。私は植物たちの逞しい姿にふれることで、突然やって来た新たな日常に戸惑う自分を鼓舞しようとしているのだと思います。


あいちトリエンナーレ2019のプレオープンの際、私は豊田市美術館のフロアで横になっていました。天井を眺め、目を細める姿は、まるで草原で星空を眺めるような恰好だったかも知れません。スタジオ・ドリフト(2007年スペインで設立)の『Shylight』を鑑賞していたのです。

彼らの作品は、植物の花や葉が光量や温度にあわせて開閉する、就眠運動と呼ばれる動きを詳細に観察・解析して設計されたもので、白い布が空気をはらみながら、閉じたり開いたりしながら上下に動くのが特徴です。じっと見上げていると、蕾が蓄えたエネルギーをゆっくりと解きながら微笑みかけてくるようでもあり、キラキラといたずらな瞳を輝かせながら舞い降りてくるようでもあります。そして昼が過ぎ、夜が過ぎ、また朝が来る・・・というような時の流れが過ぎていく。そう、気づくと幾日もの時を過ごしているかのような錯覚を覚えるように、ずっと眺めていて飽きない時間と空間がそこには在るのでした。


自然の中にある美の規律を見つけ出し、現代的なテクノロジーで再構築するスタジオ・ドリフト。彼らの作品にも、植物たちが持つ“人を勇気づけ、和ませてくれる力”が存在しています。私たちはこれからもさまざまな環境の変化を経験していくかも知れませんが、自然のやさしさやテクノロジーの力を借りながら挫けず、乗り越えていきたい・・・そんなことを思います。

https://aichitriennale.jp/2019/artwork/T11.html

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