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第24回まつもと演劇祭:シンポジウム&記者会見 [取材]

長野県松本市で毎年開催されている地域演劇祭『まつもと演劇祭』は、今年で24回目を数える歴史ある演劇祭ともいえます。今年は参加全団体が一堂に会し、シンポジウムを開催。地域の演劇の状況、課題、参加作品の見どころなどをテーマに進行されました。

参加してみての所感として意外だったのは「稽古場所の不足」(数の不足、適した規模の場所がない等)。私は愛知県在住ですが、愛知県はそれほど稽古場所には苦労していない印象を持っていましたが、一度地域の舞台関係者に聞いてみたいと感じました。一見、活発に見える地域でも隣接する地域との関係性などで悩みがあるという点なども、話を伺ってなるほどと思えるものでした。生の声を聴くって、やはり大切ですね。


■トークテーマ:地域で演劇活動をする意味とは?

1.それぞれの地域での演劇をめぐる状況について
2.地域で演劇を続けるにあたっての苦労や困難などについて
3.今後の展開について
4.質疑応答

■参加団体(会場ごとにご紹介します)
*個性の異なる5会場で上演、1つの会場で2団体(地元劇団とゲスト劇団という組み合わせが交互に)で上演。1つの会場がどのように変化してみえるかも見どころのひとつだそうです!

[会場]
上土劇場 (〒390-0874 長野県松本市大手 4-7-2)
[団体]
ぱすてる (ぴかぴか芝居塾17期生ユニット)
猫の会 (埼玉)

[会場]
ふれあいホール (〒390-0874 長野県松本市大手 4-8-15)
[団体]
信州大学劇団山脈
劇団イエース (神奈川)

[会場]
まつもと市民芸術館 (〒390-0815 長野県松本市深志 3-10-1)
[団体]
劇団サムライナッツ
いるかHotel (兵庫)

[会場]
深志神社 天神会館 (〒390-0815 長野県松本市深志 3-7-43)
[団体]
空想≠カニバル
ヨコハマ・ファンキー・モンキー・マン!!!(神奈川)

[会場]
信毎メディアガーデン1Fホール (〒390-0811 長野県松本市中央2-20-2)
[団体]
幻想劇場◎経帷子
イチニノ (茨城)

-----以下、一部メモをご紹介-----

主催者あいさつ:『まつもと演劇祭』は24年回目。3日間で31公演が市内各所で上演されます。
シングルチケットを購入すると、→シングルプラスワンチケットというシステムでチケット1枚分のもう1公演観劇することが出来るユニークなチケットシステムを今年は取り入れました。ぜひ、普段はあまり見ないな、という作品にもふれて頂けたらと考えています。高校生以下は無料で楽しんで頂けますので、ぜひお子さんもご来場頂けたらと思います。

10月9日にはイオンモール松本プレイベントありますが…内容はサプライズです(笑)!


シンポジウム内容メモ

☆地域の特徴について

[新月]?ぱすてる:
演劇はじめて3ヶ月、安曇野市在住、美術館はあれど劇場はほとんどない、松本は演劇が盛んだと感じる。自分たちはぴかぴか芝居塾(http://magenavi.com/pika/)というワークショップ出身者。演劇経験半年もない、松本の人たちの熱量の高さ、質の高さ知られていないと感じている。

[新月]?猫の会:埼玉には劇場が少ない。大規模劇場として知られている「きらり富士見」と「彩の国さいたま芸術劇場」くらい。小さな小劇場的な施設が少なく、市民ホールなど埼玉拠点だが都内がメインの上演場所。シニアが参加しているゴールドシアターが知られている。自分たちは各地域の小中学校に向けた演劇のワークショップを実施(文化施設を拠点にしたアウトリーチ活動)している。

[新月]?信州大学劇団山脈:大学の演劇部としての参加は自分たちが唯一の団体。校内で活動してきて地域の人にみてもらう人が少ないが、松本市内に小さな拠点が多くある。団員は松本キャンパスだけで40名、各キャンパス合わせると80名という規模。

[新月]?劇団イエース:自分たちはミュージカルで参加。(主宰は)ピアノを教えていて、喫茶店などでで作品を発表している。観客は地域のおじいちゃんや子供にも声をおかけしている状況。赤字補填としてCD販売なども行っている。音楽コンサートを行った流れでミュージカル作品の発表をしたり、地域で有名な記念館の来場者に無料で公演を打ったりしてしている。音楽主体の作品上演。自分自身は演劇とミュージカルとの境目を自分は感じていない。松本演劇祭では初のミュージカル作品として参加する。

■劇団サムライナッツ:(集客1000人を達成している団体)活動知己は伊那谷地域。地域では活動している団体意外とある。地理的な特徴として谷なので昔から文化交流があり、地歌舞伎や人形劇(飯田人形フェスティバル)などが盛ん。自分たちの活動も谷の中ではうまくいってる、外に出てみようとこのような演劇祭に参加している。

[新月]?いるかHotel:兵庫はピッコロシアター(劇場)、ピッコロ演劇学校・ピッコロ舞台技術学校など公的に演劇にも力が注がれているが、小劇場規模はそれほど盛り上がっているわけではなく、大阪(お笑い)と京都(芸術性高い)が盛んという状況。大阪で活動している役者が東京に出ていき人材が育たないという課題があり、メジャーリーグ(東京)と社会人野球くらいの差があるイメージ。20年そんな状況でやっている。県として芸術に理解はある(ピッコロ演劇学校の校長が知事)あり、歴代の知事がそのような流れを引き継いでいる。一方、大阪では知事が変わったときに小劇場がマンションに替わっていくなど状況によって危ういとう側面もあると感じている。

[新月]?:空想≠カニバル:長野は松本ほどてはないが活気がある。行政の事業としての演劇祭などはあるが団体ごとの横の繋がりがなかったり、場所として小さな箱がない、劇団は増えてきている、場所を選ばない演劇がしたい。

[新月]?ヨコハマ・ファンキー・モンキー・マン!!!:神奈川は多様性がある。70年を越える活動歴のアマチュア団体が3つあり、連盟が50年を超える歴史があるが、民間の劇場はほとんどない。知事がミュージカルが好き、県立の施設に無料で使える場所がある。演劇団体同士の横の繋がりはあまりない。演劇のスクールも県がやっているという状況ではある。

[新月]?幻想劇場◎経帷子 :初回演劇祭から参加している。演劇祭の形態もさまざまに変わってきており、今の仕組みになったのは20回開催あたりからだと記憶している。

[新月]?イチニノ:茨城は演劇が盛んと言えない土地柄。小劇場規模の箱はなく、水戸芸術館くらい。都内まで1時間くらいなので本気で演劇を目指す人は都内に出ていく。地元で16年活動してきたが、外に出たらどう評価してもらえるかとの思いで地域外で作品上演に挑戦している。公的支援はほぼない状況。


☆兵庫は公的支援があるのはなぜ?知事が変われば状況変わる可能性あるのでは?

いるかHotel :知事が変わっても3代は続いている。大阪に対して兵庫は文化で、というような差別化意識があるのかも知れない。大阪は演劇活動への支援が活発だったが、H知事に変わったときに演劇の稽古場がマンションに替わってしまったという状況…。稽古場を失った大阪の団体が西宮に稽古にやってきており、西宮の劇団も稽古場が逼迫するようになった。新劇場建設時にヒアリングを受けて小規模劇場の必要性を伝えたが、結果として完成したのは1000人規模の劇場ができてしまった。

☆神奈川は行政にめぐまれてないか

ヨコハマ・ファンキー・モンキー・マン!!!:民間の稽古場がない(相鉄ホールなくなった)という状況で、横浜市の青少年センターなども老朽化。

事務局:松本は恵まれていると思う。松本市内の30~40の公民館は無料で使える(午前も夜も)ある。

空想≠カニバル:長野はいくつかある公民館、ちょっとしたギャラリーやカフェ営業しているギャラリーなど(ギャラリーやカフェ借りるのはお友達価格)、新しくできたてきたところは時間制限できたりする。

イチニノ:茨城は水戸市は公民館など無料で使えるが月に使える制限がある。自前で稽古場つくったり、一軒家をかりたりするところも。

劇団サムライナッツ:夏は市民劇団の場所を借りたり、今年は参議院選挙の投票所になったりするときは高めの会議室など、有料にはなるが、困ったことはない。


☆大都会周辺の団体が多い、どうして地元でやっている?何処にこだわっている?

いるかHotel:逆になぜ地元で出来ないんだ?と考えている。関西の大きな経済圏の中にあって開拓出来ないはずはない。上京してしまう人をどう引き留めるか、どうしたら東京にない魅力を持たせるか、上京する人は爆心とした期待で行ってしまう。漠然とした期待には勝てない。

劇団イエース:東京と本厚木なりでまとめてやっている。照明も音響も持ち込みでやっており、東京でやれば集客できるのにと言われるが・・・。

猫の会:絵劇作品を公演として打つことだけが演劇ではいと考えている。学校教育に入っていくなども演劇活動。公演を打つことが目的ならば東京、東京の学校の子供たちは演劇も充分だが、隣接する地域の子供たちはあまり広がっていない。

☆この演劇祭に参加したきっかけは?

ヨコハマ・ファンキー・モンキー・マン!!!:地域でやることに行き詰まっていた。イチニノさんの活動に影響を受けたり、他の演劇人の影響されたことが大きい。先陣を切って他地域で活動している姿はカッコイイ。

信州大学劇団山脈:地元団体としてエントリーしているが、実際の団員(学生たち)は長野県出身者がむしろ少なく、地域のことを知らないと感じている。改めた地域の人にことを知りたくて参加している。

☆地域への貢献として意識していることはあるか?

イチニノ:地元で16年、仕事をして家庭をもって限界も見えてきて、茨城で生まれて育った自分に土地に根付いた何かがあるのではないか、外に持っていったときにどのように匂いのようなものを感じ取って頂けるか?外に出て出会うその土地の魅力を持った劇団に出会うことで刺激にを受けている。

劇団サムライナッツ:地元の若い人に何もなにもないといわれるが、そうではないと思ってほしい。もっと地元を盛り上げたい。若者に自分の地域を魅力あるものとして感じて欲しいと考え、演劇活動をしている。演劇を本気でやるのは大変だが、8年やって手応えも感じている。


☆記者質問(信濃川毎日新聞):コンセプト(1本見たらまたみたくなる)を実現するために考えていることは?)

幻想劇場◎経帷子:今回だけではなくずっとそうしてきていて、形になってきた。見たいと思った通り作品だけでなく、あと1本みて梯子してほしいという想いがある。

イチニノ:ごひいき劇団以外の劇団にも出会ってほしい、普段見られないものをみてほしい。私たちのつくりあげる空間劇…ぜひみてどんな、ものか体感してほしい。

事務局:観客の意図を超えた期待を提供したい。同じ会場でも異なるテイストのレパートリーを揃えている。ホーム劇団とゲスト劇団が同じ会場を交互に使う趣向になっているので、同じ空間がどう変わるのかも楽しんでもらえる。

☆記者質問(MGプレス):メディアガーデンが新しい会場になるが、新たな会場に期待することは?

幻想劇場◎経帷子:長くやって来ているので、馴れ合いにならないように新しいところで上演するように勧められる。本当はもう少し小さな規模でやりたかったが、空間をどう活かせるかを考慮してつくりこんでいる。タッパの高さ…どう見せるか、天井から吊り下げる幕など工夫した。

☆記者質問(MGプレス):シンポジウムの話に戻るが、猫の会が考える演劇活動で効果が期待される教育効果の具体的なものとは?

猫の会:ひきこもりの子供たちの行き場のなさ、自己肯定感の低さを演劇を通して自然に出きることで高めて行けるのではないか?思考の柔軟さ…インプット型の教育からアウトプット型になっていくこと、舞台芸術は効果があるのではないか。演劇は有効なツールではないかと考えている。

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演劇祭本番は2019年10月4日(金)から6日(日)の3日間・31公演。
秋の信州観光も兼ねて、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
私も遊びに行きますし、ワークショップも連携プログラムとして実施させて頂く予定です!

まつもと演劇祭:https://matsumotoengekisai2018.jimdo.com/
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